含歯性嚢胞(濾胞性歯嚢胞) Follicular Cyst

 

含歯性嚢胞(濾胞性歯嚢胞)は、埋伏歯の歯冠を含んで形成される嚢胞で、歯の元である歯胚というものを包んでいる袋状の上皮から生じます。

 ほとんど無症状で骨を溶かしながら大きくなります。大きくなるにつれて顎骨の無痛性膨隆や、骨の一番外側の皮質骨が吸収されて、骨が紙のようにペコペコと感じたり(羊皮紙様感)します。

 歯の交換期、つまり永久歯の萌出期(6〜15歳)の年齢に多くみられます。歯を巻き込んで大きくなっていきますので、該当する歯が生えてこないということで気が付くことが多いようです。しかし、自覚症状に乏しく発見が遅れる場合もあり、高齢者でもみられることもあります。
しかし、実際には、歯の交換期に当たる、学童期から思春期の年代よりも、当院では20歳台以降の患者さんの方が多いのが現状です。歯が生えてこない、あるいはたまたま歯科医院でレントゲン写真を撮って偶然見つかったという場合がほとんでです。それゆえに歯科に関する知識の普及と歯科での検診が重要になるのです。

 部位は上顎では7割ぐらいが前歯部、下顎では半数以上が智歯部(親知らず歯)によく見られますが、その他下顎臼歯部、上顎智歯にも発生します。


診 断
X
線所見でほぼ分かります。代表的なのは、歯冠を含む類円形の境界明瞭な単房性透過像として見られます。
しかし、嚢胞性エナメル上皮腫や腺様エナメル上皮腫、その他の顎嚢胞との鑑別を要する症例もある。


治療法

基本的には手術しかありません。ただし、その方法は年齢、部位、大きさなどにより2つの選択肢があります。

1.開窓療法

嚢胞内永久歯の保存をはかったり、嚢胞の大きさを縮小させる目的で行うものです。

つまり、嚢胞腔を開窓し、正常歯列にあるべき歯の場合には、歯を正常な位置へ萌出誘導します。また、摘出により顎骨の骨折が危惧され、移植など手術が大きくなったり、顎の成長発育に障害を来たす恐れがある場合に開窓療法を選択し、先ずは嚢胞を小さくします。この場合の多くは、後に嚢胞摘出術をすることになります。

2.嚢胞摘出術
開窓療法の適応でない症例に対しては、抜歯を伴う嚢胞摘出術を行います。

つまり、埋伏歯が過剰歯である場合や、歯が逆向きであったり、歯根の屈曲が強い場合などで萌出誘導が不可能な場合は、抜歯して嚢胞を摘出します。

7歳女児。下顎枝全域に拡がる嚢胞 開窓手術後1ヶ月
嚢胞腔はかなり小さくなってきている。